楽天2020年に向けて東南アジアのマーケットプレイスから撤退(東南アジアでのフリマアプリは時既に遅し?)

tech in asiaで報じられていました。

Rakuten to close Singapore, Malaysia, Indonesia marketplaces, lay off about 150 staff

https://www.techinasia.com/rakuten-exit-singapore-malaysia-indonesia-thailand


英語で書かれている中身を要約すると

楽天市場がアジアの3マーケット(シンガポール、マレーシア、インドネシア)から2016年3月までに撤退。アジアでは日本と台湾のみにシフト。

閉鎖するのは以下

シンガポール Rakuten Singapore - Online Shopping, Deals and Promotions

マレーシア Rakuten Online Shopping Malaysia : The Largest On-Line Shop

インドネシア Rakuten Belanja Online - Shopping is Entertainment!

※タイは売却中 Rakuten TARAD.com | ซื้อ ขาย สินค้าออนไลน์ ช้อปปิ้ง เสื้อผ้า นาฬิกา อุปกรณ์โทรศัพท์


アジアのecでは、c2cフリマアプリの「ラクマ」を投下するものの、既にこのエリアでは市場を取っている2大フリマアプリ(「carousell」と「Shopee」)があるので厳しい(記事に寄ると「too late to the game」)だろうとのこと。

なお、楽天グループとしては、楽天Ventures経由で「carousell」に投資をしていること、楽天Venturesと楽天travelは事業を継続するので、アジア全体から撤退するということではない。

とのこと。

確かに決算ではアジアECのことはまったく触れられていませんでした。
中国、アメリカ、香港は伸びていましたが、東南アジアはうまくいってなかったのですね。現地企業と組んで展開していたはずなのですが。

http://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/results/file/15Q4PPT_J.pdf

f:id:adilostz:20160213163149p:plain

 

アジアのc2cフリマアプリ

1.carousell(楽天Venturesはcarousellに投資をしている)

carousell.com

2.Shopee

shopee.com.my

3.フリマアプリの「ラクマ」(too late to the game?)

rakuma.rakuten.co.jp

 

 

最近の楽天

2016年2月12日の決算発表があったりで、最近話題になって記憶に残っている楽天関連のニュースといえば、以下2つでしょうか。koboはなにかと話題になりますね、、

01.kobo減損

www.itmedia.co.jp

Koboは2011年に買収し、電子書籍ストアや端末を展開しているが、「世界の電子書籍市場の立ち上がりが当初の想定よりも遅れ、それに伴う事業計画の遅れが要因」

02.国内ec市場の停滞

biz-journal.jp

楽天市場を中核とする国内EC流通総額は伸び悩んでいる。15年第1四半期は5079億円で前年同期比1.2%の減。14年まで2年間(平均16.7%)の高い成長がストップした。楽天市場の成長神話が崩壊した瞬間だ。

楽天市場の停滞は出店店舗数に現われている。15年9月末時点のそれは4万2601店。14年12月末の4万1442店から1159店しか増えていない。

 

楽天vision2020

実は2016年2月12日の決算発表で2020年vivsionが発表されていました。上の2つはネガティブな印象で記憶に残りますが、こういう中期戦略はあまり記憶に残らないジャンルの情報ですよね。

2020年12月期の目標として
・売上収益(売上高)は1兆7000億円目標(15年12月期7135億円)
・Non-GAAP(非米国一般会計原則)ベースの営業利益で3000億円目標(15年12月期1521億円)

また決算で発表のあったようにecは日本と中国、アメリカ、香港は伸びていますが、このvision2020でアジア市場だけではなく海外市場全体での方針転換が発表されていました。マーケットプレイス東南アジアだけではなくブラジルでも撤退でした。

※ブラジル http://www.rakuten.com.br/

f:id:adilostz:20160213161620p:plain

http://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/pdf/Vision2020_J.pdf


ですので、アジア市場のクローズは一応決算発表で報告されていたということですね。そこまで記憶に残らないのですが。。
そしてその詳細としてのtech in asiaの取材によってニュースが出たということでしょうか。


2020年に向けて集中と選択をしているのでしょうが、2020年といえば東京オリンピックもあり日本市場が盛り上がっているだろうと想定される時期です。ただしそれ以降は人口減も予想されていますし、日本だけでは先細りが懸念されることもあるでしょう。市場として東南アジアの成長は期待できるはずですが、その市場拡大を捨てでも他の事業に集中していくということなので、事業戦略としてはそのあたりの意思決定が気になりますね。
tech in asiaではフリマアプリ「ラクマ」は「too late to the game」と書かれていましたが、市場で勝てる戦略・戦術は楽天サイドにはあるのでしょうか、それも気になります。なんとなくなさそうですが。

楽天アジア市場からの撤退・その敗因(2.15追記)

マーケットプレイスはそのサイトにどのくらいの商品があるのか「規模と網羅性」が勝負ポイントになるのですが、アジアでの楽天マーケットプレイスはそこがまったく強くなかった、これが敗因の可能性が高そうです。

1.出店数が少ない≒商品数が少ない→買いに行かない
例えば(もなにも、だれもが体感しているように)本屋に行って、村上春樹の新刊を探しに行った、が無かった。そしたら本屋には行かずamazonで探す、みたいな。
日本だと小売は楽天にまず出店するというフレームができていましたが、アジアではそれが実現できなかった。なのでユーザーを集めることができなかった。楽天も当初何かしのキャンペーンで人を集客させていたみたいですが、探しに行ってもほしい商品が無かったらもう楽天には行かないですから。
そういう意味ではYahoo!ショッピングも店舗数が少なくて楽天の後塵を拝していたわけですが、戦略を変更して現状はみなさんご存知の通り大躍進ですね。

2.出店数が少ない≒商品数が少ない→SEOが強くない→買いたい人が来ない
出店数が少ないというのはまた事業的に別問題も発生させます。
商品点数が少ないために、仕組み上SEOに強くなれず検索しても出てこない。ほしいと思った人がいたとしても、サイトに訪問させることができない、そのために売り上げを作ることができない、となってしまいます。
SEOは外部リンクや構造変更すれば良いじゃんという声も聞こえてきそうですが、そういうわけにはいかず、いかに適切なコンテンツが揃っているかがそもそもなので、SEOの仕組み上勝てないのです。かといって、マーケットプレイスは利益幅の問題で検索以外にお金をかけて集客するのはなかなか難しいですからね。


3.出店数が少ない≒商品数が少ない→人が買ってくれない→出店してくれない
結局、1と2の問題があることでネガティブループが発生します。言い換えると、楽天マーケットプレイスに出しても商品が売れないんだったらお店が側は以下のように考えます。
地場のecサイトに出店するよ、自分たちのサイトで売るよ、まだecはやらなくて良いや・お店で売るよ、と。
その結果、また1.と2.のループにはまり、事業を大きくすることができなくなっていたと。
ちなみにアジアではLAZADA(ラザダ)というECが強いですね。
ラザダ インドネシア Lazada.co.id: Belanja Online Fashion, Elektronik, TV, Tas, HP, Laptop
ラザダ マレーシア Lazada.com.my: Online Shopping Malaysia - Mobiles, Tablets, Home Appliances, TV, Audio & More
ラザダ シンガポール Lazada.sg: Online Shopping Singapore - Electronics, Home Appliances, Mobiles, Tablets & more

楽天アジア(シンガポールインドネシア・マレーシア)撤退のまとめ

マーケットプレイスはアジアではなく全世界で整理
マーケットプレイスは撤退した東南アジアではフリマアプリ「ラクマ」を投下
・ただし東南アジアではフリマアプリで巨大な競合があり楽観視はできない
マーケットプレイスの敗因は出店数(の可能性)

・フリマアプリの戦略は気になる、とりあえずな感じ?
・今後市場の伸長が期待できる東南アジアはどうする?

(さらに追記)
勝てないところからは退き、伸ばせるところに集中する、経営としては王道で。2020年に向けて伸ばすための経営戦略であって、そうなのかーアジア市場は残念だなー、日本に集中するのかー、M&A事業拡大かーというのは気になるんですが、ニュースなどを見ていると、amazonなどと比較して、楽天から届くメールがどう、長いページがどうなどなどネガティブなことをあげている人もいますね。みんなそんなに楽天好きじゃないのですねということに今回改めて気づきました。


(2016/2/17追記)

楽天アジア(シンガポールインドネシア・マレーシア)撤退続報

東洋経済では以下の記事がありました、フランスの「プライムミニスター」が問題で、アジアの海外事業は戦略見直しということでした。

toyokeizai.net

海外EC事業の戦略見直しは、米国やインドネシアシンガポール、マレーシアなどで、事業の一部縮小を行う内容である。インドネシアなどでは人員整理にも 踏み込み、タイではEC事業会社の売却先の検討を始めた。今後、米国では「直販型」から撤退して、各種ECサイトに送客するイーベイツとEC事業者がモー ルに出店する「マーケットプレイス型」に集中。EC市場の小さな東南アジアでは、逆にマーケットプレイスをやめて、個人間売買の「フリマアプリ」へと切り 替える。


しかし、事業撤退に関しては現地からの情報を基にした以下のブログがものすごくわかりやすいです。レイオフの話が中心で途中からお怒りモードのようですが。

uniunichan.hatenablog.com